落雷事故を避けるために②(WEBで調べられる雷情報サイト)
2019年5月12日、山梨県三つ峠山でクライミングを行っていました。早朝の天気は快晴。午前中は岩場付近で多くのトレーニングを行ってきました。天気が良かったのは朝だけ。昼が近づくごとに天気は下りはじめ、富士山の姿はかすみ、富士山の後ろにはもくもくと入道雲(積乱雲)が出始めました。積乱雲が富士山の高さを超えた頃には三つ峠山頂付近にぽつぽつと雨が降り始め、下山を開始した15時には土砂降りの雨と雷鳴が響き始めました。
この日の天気図。雨を降らす前線は日本列島のはるか南に位置し、好天の目印である高気圧が日本列島を覆っている。この天気図を見る限りでは登山をするにはもってこいの日と判断してしまいます。
ところがこの日は終日晴れが続くことなく、午後からは雨が降り始め夕方には強い雷雨となってしまいました。下山時点でレーダーナウキャストのリアルタイムの降水状況を確認すると、山梨県には強い雨の点が表示されています。
更にレーダーナウキャストで雷の状況を見ると、活動度が2から3の強い雷雲が発生していることもわかります。
拡大すると、山梨県全域が雷雲に覆われている状況です。
その時の山では雹の混じった大粒の雨が降り、周辺で稲光と雷鳴が繰り返し発生していました。
幸い同行したメンバーは山のベテランばかりでしたので、特に混乱もなく下山することができました。もしもこの時山の初心者が含まれていたら、きっとトラウマになるか、登山熱が冷めてしまったかもしれません。それだけ山での雷は怖く、恐怖を感じるものでした。
上記の図は週間寒気予想のサイトからの引用です。 この週間寒気予想では一般の天気図では表現されない高層の寒気の位置が表されています。朝9時の時点では標高5000m付近に-18℃の寒気が日本列島の北半分を覆っていることがわかります。
天気の詳細は別記事にて解説しますが、上空に寒気が流れ込めば、低層の暖かい大気が上空に上昇し始め、空気中に含まれていた水蒸気が水滴となり、やがて雨となり地上に降ってきます。
週間寒気予想は1日に2回更新のため、雷鳴がとどろいた昼過ぎの寒気の図はありませんが、寒気は昼過ぎも三つ峠上空に居座わり、更に朝からの快晴の天気で地表が暖められ、寒気との大きな温度差ができ、積乱雲の成長につながったものだと考えられます。
天気図上では日本列島が高気圧に覆われた予報図でしたが、この日の午前4時過ぎには山梨県全域に雷注意報が発令されていました。
旅行会社主催の登山ツアーで講師(ガイド)を務める「登山ガイド.net」管理人の 矢ケ崎 晶 です。
一年間に千人超のお客様と登山を楽しんでいます。その際、登山中に受けたご質問を中心に当サイトに記録して参ります。
これからも優しい丁寧なガイドを目指し究めます!