入笠山 (初心者にも安心!日本アルプスの展望台)
入笠山(にゅうがさやま)
南アルプスの最北端に位置する1,955mの山。
麓から延びるゴンドラに乗ってゴンドラ山頂駅に着けばそこは標高1,780mの地。頂上までの標高差は200m程。
山頂までの道のりには湿原が広がり季節によって色とりどりの高山植物が花を咲かせます。
登山を始めたての初心者。また登山を続けてきた人が雪山を目指すとなった時の初めての雪山にもお勧めできる、親しみやすい山の一つです。
梅雨時の入笠山
梅雨時の入笠山は高山植物が美しい。
2019年は登山ツアーで4度入笠山をガイドしました。その4回全て雨天。しかし、お連れした皆さん雨の日の登山を楽しんでいただけました。
入笠山は登山口までゴンドラに乗って山頂近くまで行けること。また山道が整備されとても歩きやすい。トイレも数多く整備されていたりと、山の初心者・初級者を誘いやすい山でもあります。
下界の天気が雨なら山の上も雨。この時期の登山は入笠山に限らず雨にたたられる日が多いです。不快で憂鬱な雨の日登山も入笠山なら少しだけ心救われる。それは多くの花が登山者を迎え入れてくれるからです。
入笠山の頂上付近は湿原が広がり、その湿原には赤・青・白・黄と色とりどりの花。毎週訪れるごとに、違った花が咲き始め、飽きることはありませんでした。4度の登山ツアーを振り返っての感想です。
すずらんの花言葉
入笠山が誇る植物の一つにすずらんがあります。
この山には登山者だけでなく一般の観光客にも楽しんでもらえるよう、ドイツ原産のすずらんがゴンドラ駅前に植えれています。 群生地に足を踏み入れればスズランの香りに囲まれとても幸せな気持ちになります。
登山目的で入笠山に訪れたなら、ゴンドラ駅を離れ頂上に向かいます。その道中には入笠山に自生する日本すずらんを多く見ることもできます。6月30日の山行では湿原内の日本すずらんがようやく満開に。ドイツ産に比べれば香りも控えめながらも雨に濡れた花はとても可憐で、ついつい足を止め数多くの写真を撮ってしまいます。
山の中にとろろ昆布?
山の中を歩いていると、後ろのお客様から質問の声が。
「あのとろろ昆布みたいなのは何ですか?」(笑)
不快な霧雨の中、皆さん寡黙に頂上を目指し歩き続けている中、笑いが起きる。
いつも気になっていながら、「あのとろろ昆布みたいの、鍋に入れて煮込んだらおいしいのかな?」と思いながら、いつも意識しつづけていたアイツ。でも名前は知らない。
奇跡的に作っていただいた和やかなムードが消え去る前に、片手に握っていたスマホを立ち上げすかさず「登山 とろろ昆布」で検索。出た!一発ヒット!
サルオガセという植物でした。
地衣類の一種。街中のお洒落な雑貨店で売られる水やり不要の植物、「エアプランツ」の一種で、入笠山に限らず八ヶ岳や日本アルプスの高山でも多く見かけます。
雨の日にどうしても山に登るなら入笠山
「なにも雨の日に無理して登らなくても」そう言われてしまうかもしれません(笑)
でもそんな条件を付きつけられれば、私は「入笠山かな?」
頂上までのアクセス、容易さ。事故やケガの心配も少なく、何かあっても途中の小屋に駆け込める。トイレも多くあるのは初心者連れには心強い。湿原内は木道で整備され歩きやすく、道にも迷いにくい。
何よりも湿原に咲く花が、いとおしい程に美しい。
雨の日登山の練習にも
登山を予定していた日、天気が雨なら登山は中止。
山仲間との山行も、天気が雨なら基本的には中止にしています。
しかし、今後3,000m級の日本アルプスを目指されるような方であれば、雨の日登山は数多く経験しておくべき。
高山を目指すとなると日帰りでは難しく、2日・3日の行程になると思います。しかし山の天気で丸二日・丸三日と晴れの日が続くことも稀で、やはり雨に降られることも多いです。
3,000m級の稜線で雨に降られた。雨の日登山はこれが初めて。となると、色々な不都合も多く、雨具の装着タイミングの判断が遅れたり、装着に時間を要したり、装着中に雨具を風で雨で濡らしてしまったり飛ばされたり・・・
困難な登山を目指す方は、何度も雨の日登山のリハーサルをお勧めします。そのリハーサルの地として、入笠山はオススメの山です。
とはいえ、晴れた日の入笠山はもっとオススメです。
旅行会社主催の登山ツアーで講師(ガイド)を務める「登山ガイド.net」管理人の 矢ケ崎 晶 です。
一年間に千人超のお客様と登山を楽しんでいます。その際、登山中に受けたご質問を中心に当サイトに記録して参ります。
これからも優しい丁寧なガイドを目指し究めます!