涸沢カールから見た不思議な虹

平成最後、令和最初のゴールデンウィーク。悪天候の合間を縫っての穂高岳山行を敢行。

◆渋滞回避で連休初日朝に上高地入り


10連休ともなる今年のGW。高速道路の渋滞は予想が難しく、連休突入前の金曜夜発の夜行バス(さわやか信州号)に乗車しての上高地入り。朝5:30の上高地の気候は肌寒い。数日間平野部に雨を降らせた雨雲は例年この時期に上高地入りすることが多いものの、今年は人影もまばら。好天の続かない連休前半を回避してかと想像してしまう。

朝雲に包まれる穂高岳は河童橋からは見えず

◆1日目の天気、曇り後雪。


上空を吹きすさぶ風に乗って稜線から粉雪が舞い散る中、梓川沿いの長い林道を歩く。今回は涸沢で2泊3日のテント泊、2日目は前穂北尾根を登攀する計画。
登攀用品、テント用具、食材等合わせて23kg。100リットルの大型ザックはパンパンの状態。横尾から始まる山道では地道にゆっくりと歩みを進める。

◆例年より賑わいの少ない涸沢テント村


昼過ぎに涸沢に到着。天気はますます悪くなる一方。普段はテントを野ざらしに設営するのに、今夜の吹雪に備え厳重に雪壁作り。持参したスコップで立方体の雪のブロックを丁寧に積み上げ、テントの高さ半分ほどの防風壁に囲まれたスペースに設営。

どのテントも雪壁作りに余念がない。中にはテントを超える高さまで積み上げる猛者も。

◆暴風雪明けの朝はピーカン


夜間はトイレに行くこともはばかられる程の吹雪が襲い、テントの壁が終夜バタバタと寝袋を叩きつけた。厳冬期と変わらない程の冷たい空気がテント内を駆け巡る。この時期にしては少しオーバーともいえる厳冬期用シュラフを持参していたことは正解だった。お湯を入れたナルゲンボトルを湯たんぽ代わりに就寝。ぐっすり眠りにつくことができた。

◆雪崩のリスク


4月の高温でザラメ状となった雪面の上に、一晩で20cm程の積雪。弱層テストをする必要もない程の雪崩が発生しやすい高リスクな状況。
夜明けの頃には前穂北尾根5・6のコルへ到達する予定ではあったものの、昨晩の時点で計画変更。翌日はのんびりと過ごすことに。

◆前穂高岳北尾根を眺めに登ると


夜明け後、ゆっくりと朝食を取り、一般道にて北穂高岳を目指す。ふかふかの雪を踏むたびにその下のザラメ状の雪面が音を変えて響く。奥穂・北穂どちらも斜度は高く、いつ雪崩が起きてもおかしくない。周囲を警戒しながら北穂への道を慎重に高度を稼ぎつつ振り向くと、今回登る予定だった前穂高北尾根が。
この時、日暈(ひがさ)と呼ばれる太陽の周りに大きな輪が現れる現象が起きており、その下には環水平アークと呼ばれる水平の虹がちょうど北尾根に隠れるように出現していた。


夜明け後、ゆっくりと朝食を取り、一般道にて北穂高岳を目指す。ふかふかの雪を踏むたびにその下のザラメ状の雪面が音を変えて響く。奥穂・北穂どちらも斜度は高く、いつ雪崩が起きてもおかしくない。周囲を警戒しながら北穂への道を慎重に高度を稼ぎつつ振り向くと、今回登る予定だった前穂高北尾根が。
この時、日暈(ひがさ)と呼ばれる太陽の周りに大きな輪が現れる現象が起きており、その下には環水平アークと呼ばれる水平の虹がちょうど北尾根に隠れるように出現していた。


(かさ、halo、英語読み:ヘイロー

前穂高岳北尾根に掛かる環水平アーク

◆山行を終えて


毎年ゴールデンウィークは3、4日まとまった休日が取れることから、国内遠征をすることが多い。この時期は夏山と異なり天候が急変することが多く、GWの遭難事故は風物詩といえる程。
2012年のGWも涸沢に訪れており、曇り後雪の予報にもかかわらず早朝から好天となり、多くの登山者が稜線を目指した。しかし天気は昼から崩れ、夜には吹雪となった。その日北アルプスでは遭難事故が多発した。今だから言えるが、その日見た好天こそ「疑似好天」であった。
登山にはリスクは付き物で、登山者がどれだけリスクを許容するかによって山行は決まる。この日、天気は保ったものの、涸沢周辺では軽度の雪崩が発生し、北穂では4名、奥穂では30名の方が雪崩に巻き込まれた。幸い重篤な事故にはならなかったものの、雪山登山のリスクを改めて感じた一日だった。

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